「青春に贈る」
                                                                               
 成人の日を迎えられましたことを、心から祝福いたします。これから皆様方は、人生という道を自分自身の力で切り開いていくことになると思いますが、その時に何らかのお役に立てればと「人類の叡智」を集めてみました。
 私たちは、鹿児島からこの日本を変えていこうと立ち上がっています。そして、それは必ず世界の平和につながる方向へと向かうでしょう。また時代は確実に、日本文化のもつ「和する力」「美の力」「善なる(正義の)力」を求めているように感じています。皆様方の「新時代を生き抜く力」になれれば幸いに思っています。

【人生の成功の秘訣】               

 
「心の中にいかなる種をまき、
    いかに工夫してそれを育てるか、
    これが人生の秘訣のすべてです」
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あなたたち青年が心の中で強く信じ、その実現を期待した事柄は、やがて歳月を経て現実化するでしょう。その間、うまずたゆまず、明るい心を持って努力精進を続ければ、道は必ず開け、雄大なる成功の大地が眼前に展開することでしょう。


【青春の道標】

1、自己確立への試練

 青春というものは、苦しみのなかで悶え、葛藤するなかに、まさしく魂の(人間としての)磨きがあるのであり、これは大事な大事な試練の時期にほかなりません。そのなかで「いかにして自分というものを確立し、独自の人生観・世界観を持つか」ということが大切です。


2、青春期の心得

 1)思考の材料を集める
   二十代において、親の人生観・世界観から、何とかして抜け出さなければいけなく なってきます。ある程度は両親の意見を聴きながらも、みなさんは自分としての答え を出していかねばならなくなります。では、どうすれば自己の判断に対して責任をと れるようになるか、まずは、考える材料というものを持たなければいけません。一定 の知識や情報を持つことによって、物事を判断するときに、非常に早い時間で結論づ けることができるのです。この判断の材料が手に入らないために苦しむことが非常に 多く、あとになってからわかることも実に多いわけです。したがって、ある問題を自 分だけのものとして考えるよりは、先人たちが、それをどのように考え、解決し、乗 り越えていったかということに対し、謙虚に耳を傾けるべきです。

 2)自助努力の精神
   複雑な人間関係のなかを生き抜いていく知恵を、どのようにして得るべきか、それには、人生に対する態度を持っておくことが大事だと思います。一定の態度というものを、学生時代や二十代の初めの頃に身につけておいたほうがいいでしょう。一つは「自助努力の精神」が非常に大事です。これは、人生の成功・不成功に関して、単なる運命論や環境論ではなく、自助努力によって運命を開けていけるということであって、「まいた種によって、あるいは努力によって、人生はかわっていくものだ。」ということです。

 3)自分と周りを変えていく
   どのような環境からでも、偉大な成功者は出てくるものです。そうした方は必ず、知識面においてか経験面においてか、あるいは、たいていの場合は両面において、人知れず努力を積み重ねてきた方なのです。周りの環境に対しては、周りから自分への影響ばかりを考えるのではなく、「自らが発信源となって、周りを変えてくことができたか否か」ということに対して、自分自身を見つめてみる立場をとることが大事です。

 4)志を持ち続ける
   大学などで四年間を経ると、みなさんは別の人間になります。四年間で別の人間になるのならば、これから先の十年や二十年では、そうとう大きな開きが出るということを心がけておいてください。過去の二十年くらいの自分の歴史を見て、「自分はこういう人間なのだ」と思い込んでいるようでしたら、それはかなり甘いのです。現在どのような土台に立っていても、将来的には必ず変わってくるものです。したがって、「変わる」ということを前提にして、志を持ち続けることが、非常に大事なことなのです。
  「自分というものは、変えていくことができるのだ。人生というものは、切り開いていくことができるのだ」と思って、十年、二十年、三十年と、志を持ち続けることが大事です。
  「別の人間になりうる」ということを、強く自覚してほしいと思います。

 5)慢心への注意
   若いころにあまり成功すると、それで天下を取ったような気になるのですが、何十年か経って振り返ってみると、「井の中の蛙であった」ということがわかります。若いころというのは狭い範囲での競争であって、そのなかにおける勝者か敗者かであったのです。しかし、もっと大きな範囲に出ると、全然違った基準が出てきます。若いころに「失敗した」と思い、心を入れ替えて努力している人には、道が開けます。若いときに「勝利者だ」と思っていた人のほうが、実はあとが怖いという感じがあります。
  そういうことを知っておく必要があるでしょう。

 6)時間を耐える
   学校を卒業し、会社などに入社してから三年間ぐらいは、実際は、みなさんは会社にとってマイナスなのです。大學四年生の人は、最高学年ということで自信満々でしょうが、実社会に入ると、最下層まで落ちるのです。そのプライドのギャップに耐えられないということが、入社一年目に起きる事態です。
  「自分は優秀な学生だ」という自覚のあった人は、このギャップに耐えかねて悶えるのが普通です。その苦しみが和らいでくるのは、入社してから二年目か三年目に、かっての自分のような、仕事のできない新人が入社してきてからです。
  優秀な人の場合には、その優秀さを二十代ではあまり発揮できないことが多いのです。
  ほんとうに能力の高い人の場合には、その人の能力が実際に認められはじめるには四十歳ぐらいからなのです。管理職になるくらいの年齢にならないと、能力がどの程度かということは、ほんとうには測れないからです。
 入社時点では、すぐに認められようと思ってあがくのではなく、時間を耐えることです。何事も自分自身の問題として捉え、周りの人の評価ではなく、自分自身が納得のいく勉強や仕事をすることに専心するべきです。そうしたことが大事な時期だろうと思います。

3、知的巨人の要件

 1)トレンドを見抜く力
   「これから、どのような時代が来るのか」「未来社会は、いったいどうなるのか」ということを、皆様は考えたり悩んだりしているだろうと思います。
  「これからの時代は、ますます情報や知識というものを中心にした社会になる」ということが予感されます。来世紀を生き延びるためには、「膨大な知識や情報を、使えるところまで、どのように持っていくか。その力をどう開発するか」ということが、非常に大きな関門になるだろうと思います。様々な情報に対する選択力をかなり働かせる必要があります。その意味でセンサーがきわめてよくなければいけないと思います。
  そのセンサーのもといなるものの一つは、時代の方向性、未来トレンド(傾向)に対して非常に敏感であることです。常に興味・関心を持つことが必要です。そうしたアンテナを常に張っていることによって、よくわかってくるようになります。
   未来は現在のなかに、その起源があります。未来にどうゆうものが起きてくるのか、どのようなものが流行るのかということは、現在ただいまを見ていると、そのなかに必ず種子はあります。したがって、未来を知りたければ、現在ただいまに目を凝らして、いろいろなものを見つめることが大事なのです。こうした未来志向型の情報センサーを持っていることが必要です。

 2)知的鍛錬
   知的訓練においても、現在やっているものよりも、さらにもっと高度なものが要求されると思ってよいでしょう。知力そのものを徹底的に鍛錬することが必要です。
  鍛錬することによって、知力はグーッと上がってくるのです。これは機械的な努力ですから、毎年毎年、うまずたゆまず積み重ねていくことによって、知的レベルが上がってきます。そして、ある程度、実力として蓄えられてきます。いったん実力がつけば、その上に次の蓄積を積むようになって、しだいに高度な判断ができるようになってくるのです。

 3)判断力
    社会人として次に必要なものは、読書を単に読書として終わらせるのではなく、そこから判断力の根源になるものを得ることです。この、判断力の大切さを知らなければいけないのです。情報通になって成功するには、枝葉ではなく幹が何かということをズバッと見抜く力が大事です。これも鍛錬なのです。判断力を磨くことが必要です。
   したがって、未来のトレンドをつかみ、さらに知的鍛錬を積み重ねながら、その結果として、正しい判断力、高度な判断力を得るように努力することが大切です。
  そのためには、幹と枝葉を分ける訓練を常にしなければいけません。幹と枝葉を分けて、幹を残せる人が、会社で出世して管理職になっていくのです。

 4)交渉力
   交渉力とは、人と折衝をして実績を上げる力です。これは非常に大切な力であって、たとえ商品がなくなっても、交渉をする仕事は最後までのこると思います。交渉力のもとになる、ベースには知力がかなりありますが、直観力と気力もあります。
  直観力とは霊的な洞察力であり、これを持っている方は結論がよく見えるので、交渉する際に、話を持っていくべき方向がよくわかります。さらには気力、すなわち強い精神力を持つことが大事です。心というものは不思議なものであって、自分で鍛えようと思えば鍛えることができるのです。心を鍛えようと思って、毎年毎年、鍛錬していくと、心は強くなってきます。心を鍛えると、強い気力がでてきます。そして、その強い気力でもって、悩み事を打ち破ることができます。また、説得力が備わってきます。他の人を説得する力のもとは、心を鍛え強くすることです。これが大切です。
   心を鍛えるには、毎日、自己を振り返り、自分の一日というものをよく点検して、「自分の弱点を修正する努力をしていこう。自分の長所と思えるところは、さらに伸ばしていこう」と常に考えることです。さらに、道徳的に見るならば、毎日毎日「善を取り、悪を捨てる」という努力をすることです。「心のなかに起きてきたもので、善なるものは伸ばし、悪なるものは切り捨てていこう」と強い決意のもとに、日々精進していると、心の力が非常に強くなっていくのです。これが交渉力や説得力というものになって現れてくると思います。
  将来、仕事の面で成功するためには、どうしても判断力と交渉力(説得力)を持たないといけません。また、これを持っている人が、人の上に立つ人なのです。そのことを充分に理解してほしいと思います。

4、情報のリストラと高度な精神的価値

   情報社会がより高度化・複雑化することはさけられません、そこで「情報のリストラ(再構築)」が必要になってきます。「あふれる情報のなかで、無駄なも、役に立たない情報を見分け、これを捨てる」という作業が必要になてきます。
  情報選択の基礎は、「新文明の精神がどこにあるか。二十一世紀以降の新文明は、いかなる精神基盤を持つべきか」ということにかかっていると思います。
   今の日本は、精神的に見ると、国家全体、国民全体のレベルとしては、非常に幼稚で低いレベルにあります。戦後の民主主義は、民主主義の形だけを真似て、ギリシャ 的な宗教的風土をもった民主主義の精神そのものは完全には入っていません。作業レベルとしての民主主義、投票型民主主義であっても、精神価値として高いものを持っているとは思えません。そして、戦後の日本国民には、より高度なもののために奉仕するという気持ち、そういった「気」が感じられなくなっています。これは、敗戦により負け犬意識になってしまったように思います。
   目に見えぬ高度なもののために生きる人たちが、望まれている時代になっていくように思われます。
 
5、新時代の職業選択

   新時代の職業選択について、イギリスなど貴族では当たり前のことですが、二十一世紀において日本でも、一番目に優秀な学生は、おそらく宗教家になったり軍人になったりすると思います。なぜかというと、人間の仕事のなかでは、より多くの人を幸福にする仕事がいちばん貴い仕事であって、そこにいちばん優秀な人が集まることが本筋だからです。二番目に優秀な人が集まる仕事は、創造的事業を、みずから創り出していく仕事です。三番目は、言論人や学者などの知識人といわれるような文化人です。四番目は、政治家や官僚、医師、弁護士、公認会計士などの資格をもつような人、あるいは大企業の管理職以上になってきます。五番目以降もランクはあると思いますが、結局、情報時代において、情報価値のいちばん高いものから、あるいは創造性の高いものから、順に並んでいくようになるでしょう。

6、二つの専門

   世界の人たちが日本に望んでいることは、「精神的な高みを、他の国の人々に教えてほしい」「日本から、お金の儲け方、経済的発展の仕方は見せてもらったが、そのなかから、精神的なるもの、より価値のあるものとして、いったい何が生まれてくるのか。
  これを、他の国の人々にもわかる言葉で教えてほしい」ということなのです。
  特に、二十一世紀は「アジア・オセアニアに時代」であることを、ほぼ断言してもいいと思います。そのときに、いかなる言葉をもって伝えることができるかということが、きわめて大事な仕事であると思います。
  そのために、勉強の仕方として、一番目は、宗教的常識や宗教的知識を身につけることです。これは、人格の基礎づくりのために非常に大切なことだと思います。
  二番目は、みなさんがいま学問なり技術なりで専門として持っている領域があると思いますが、これを社会に対して有用なレベルまで掘り下げることです。これは一本の井戸です。そして、三番目は、自分の専門と違う領域にも、もう一つ別の井戸を掘りなさい、ということを言っておきます。系統の違う井戸を、もう一本、努力して掘ってほしいのです。心して五年十年と努力すれば、掘れる井戸なのです。これが結局、みなさんが未来社会を開いていくときの発想の源になります。要するに、将来における情報のリストラのためにも、あるいは全人類の幸福のためにも、人格の基礎に、
  宗教的なる土台を持ち、そして、その上に、専門を最低でも二つつくってみてくださ
  い。そうした異質の視点を得てほしいと思います。
  「宗教的基礎を持つこと」「自分の専門領域を、使えるレベルまで掘り込むこと」「もう一本、別の井戸を掘っておくこと」こうしたことによって、みなさんは必ず、三十歳、四十歳、五十歳になっても枯れずに働きつづけることができますし、有用で有徳な人間にもなれるのです。


書籍 『青春に贈る』 より一部抜粋
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